ひねくれ双子の険しい恋路


「なんで!?」


『やっと思いが通じあったんだから、これくらいはしないと。いい宣伝にもなるじゃん?』


「……何、宣伝って?」


『“朝日の彼女はあたしです”っていう宣伝』


「なっ…!!」

『ハイハイ、照れないでくださーい。もう朝日には言っちゃったから、拒否してはいけません。というか、梨沙に拒否されて朝日かわいそー!!』


あたしが一気にしゃべると、梨沙は黙った。


「わ、わかったよぅ…」

『それでよし。おやすみ』


ゴロン、と寝返りして壁の方を向く。


あと5分で、今日が終わる。

5月31日が終わって、6月1日が来る。


それと同時に、もう“好きの気持ち”も止めにはいらなきゃ。



――あと1分。



――あと30秒。



カチ、カチ、カチ……。


時計の音が、いつもより大きく聞こえる。



――3、2、1。




カチンッ。


長い針と短い針と細い針がすべて重なった。





――サヨウナラ、あたしの初恋。


――サヨウナラ、あたしの恋心。





決意と共に、あたしはゆっくり目を閉じた。







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