ひねくれ双子の険しい恋路
(嘘、付き合ってるの!?)
(あれさぁ、双子のどっちのほうだろう…)
(どっちにしても、ショックだなぁ)
(そうだよね…アヤって福田くんのこと…)
あんたたちの気持ちなんてどーでもいいよ。
あたしは声には出さず、女子グループ5人に言った。
再び外に目線を戻す。
あたしは、じーっと2人を見た。
初々しくて、でも幸せそうな2人を。
昨日の夜で、あたしは恋心に別れを告げた。
そんな簡単に割り切れるものじゃないってわかってはいる。
でも、“彼女”という特定の位置ができてしまうと、変な期待をしない…できないから。
きっと、無意識に期待してたんだ。
もしかしたら、
なんて。
彼女、まだいないじゃん
なんてね。
それに気付いたのも、昨日の夜だ。
叶わないはずの期待をする苦しさに、あたしは疲れた。
期待はしなくなっても、それでも全部心から抜けたわけじゃない。
だから本当は、協力するフリして自分のためなのかもしれない。
2人を目に焼き付けて、あたしの心が早く“完全な諦め”になれるように。
――いつになったら、こんなあたしが直るのかな。
あたしは2人から目を離さない。
――最低、って罵られた方が楽なのに。
この胸の苦しさが、
罪悪感なのか
残っているわずかな片思いなのか
それとも両方なのか
あたしは知っているはずなのに、
知らないふりして逃げた。