ひねくれ双子の険しい恋路
「梅雨ってじめじめしてて嫌い。憂鬱」
6月半ばのある朝。
今日は朝から雨が降っていた。
『うん、あたしも嫌い。早く夏休み来ないかな」
「だよねー。あと1カ月と少しくらい?」
『そのくらいかなー』
学校の正門をくぐって、梨沙と話しながら生徒玄関に到着。
「靴もはきたくない。むらむらするし」
『わかるけどさ、裸足だと足の裏汚れるじゃん』
「それもそっかぁ」
梨沙としゃべりながら一緒に下駄箱を開ける。
「……ん?」
下駄箱の中を見ながらつぶやいた梨沙。
『どうした?』
隣の下駄箱を覗くと、中には折り畳まれた紙が入っていた。
あたしは、直感でわかった。
これは、そういうことだ。
梨沙と朝日は付き合っている。
女子が黙っているとは思えない。
「なんだろ、この手紙」
気付けば梨沙は、その紙切れを持っていた。
『見ーせてっ』
明るい声で、梨沙から手紙を取った。
「あ、ちょっと!あたしまだ見てないのに」
『いいからいいから』
きっとこの手紙は。