ひねくれ双子の険しい恋路


「…っ!!」

「ハルカ、落ち着いてってば。じゃあ本題に入るけどさぁ」


女子B=ハルカという特に必要性のない情報がわかった。


『さあどうぞ?』


「あんたが朝日くんと付き合ってるって噂の女?」


きたね、バッチリ本題。

前置きが長すぎるんだよ。


『そうだけど』

「なんで?」

『なんで、って…。両思いでお互いに合意したからとしか言えないんだけど』


“両思い”って言葉に、少しだけ胸がざわついた。


でもそれは揺るぎない事実で、尚且つ一番近くにいたあたしが一番よくわかっていることだ。


押し込めた気持ちが、早くきれいさっぱり消えてくれればいい。

何を見ても、聞いても、心が動じないようになるために。


「なんであんたなんかが付き合ってるのよ」

「両思いなんて冗談きついって」

「ただのくだらない噂なんでしょ」

「勘違い女はまず嫌われるわー」


女子A~Dはみんな一斉に言って、一斉に甲高い声で笑い始めた。





『そろいもそろって見苦しいね。そんなに朝日の事大好きだったんだ?』


あたしがニヤッと笑うと、甲高い笑い声が止んだ。

そして一気に表情が険しくなる。



……さて、どう出てくるかな。





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