ひねくれ双子の険しい恋路
「……調子乗るのもいい大概にしなさいよっ!」
―――パンッ!
乾いた音はよく響き、あたしの左の頬に衝撃が走った。
……やると思ってたよ。
「わかった?いつまでも調子に……」
『これで済んだ?』
あたしは、やりきった感丸出しの顔をしていた女子Aの言葉を遮った。
「……は?」
『これで済んだかって聞いてるの』
「はぁ!?なんなのこいつ、今のじゃ効かないっていうの!?」
今度は女子Bが手を挙げる。
残念ながら、同じ手には2度引っかからない。
バカじゃないんだから。
――パシッ
たたかれる直前に、女子Bの手首を掴んだ。
「なっ…!」
『あたしは別にいいんだけど、梨沙と朝日の邪魔をしたら絶対に許さないから』
掴んでいた女子Bの手首に力を入れた。
――ギュウゥゥ。
「いた、痛いっ」
そこでバッと手を振り切られた。
「ねえ、どういうことよ。“あたしはいいけど、梨沙と朝日は”って。あんた梨沙の方じゃないの」
女子Aが口を開いた。
そうだった。
一応今あたしは、「梨沙」だったんだ。
もう、いいや。
そんな嘘がバレたって、特に影響はない。