ひねくれ双子の険しい恋路
「ん、」
優しくおろしてくれた。
ぎゅっと瞑っていた目をあけると、目の前には窓があった。
『あ、窓……』
眩しいくらいの光と優しい風が、その窓から入ってきた。
「おい、大丈夫か」
『あ……うん、』
そうだ、この声。
後ろを振り返ると。
『い、ちや……』
そう、そうだ、一夜の声。
ポロ。
あたしの目から涙がこぼれ始めた。
「……砂希?」
すごく心配そうな顔をした一夜が、涙で歪んで見えた。
『なんでも、ない。ただ……安心しただけ』
そう、安心した。
やっとあの暗闇から解放されたんだ。
「なんでもないって、さっきから声震えてんじゃねーかよ」
『……』
その通りの事を言われて、何も言えなかった。