ひねくれ双子の険しい恋路


『だから、なんでもな……』


――グイッ。



言葉を遮られて、頭を引き寄せられた。


いきなりだったから、あたしは一夜の胸に頭をぶつけた。



『ちょっ』


「静かにしてろって」



――トクン、トクン。



一夜のゆっくりとした規則正しい心臓の音が聞こえる。


それに合わせて、あたしの背中をなだめるように優しくたたいてくれた。



とん、とん。


と、小さい子をあやすように。


ずっと、ずっと。




なんだか、すごく落ち着く。


だんだん震えがおさまってくる。




暗闇から解放された安堵とあたたかい温度を感じ取ったあたしは、自然と瞼をおろした。





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