ひねくれ双子の険しい恋路
『…叩かれただけ』
「誰に、何回」
『知らない女子に、1回』
なんでここまで聞いてくるの…。
ってことは、
「なんで」
やっぱり。
そこまで聞いてくるよね…。
はいはい、しゃべりますよ。
折れちゃったからね、あたし。
それに、一夜はそこら辺でペラペラとしゃべるようなヤツじゃないから…。
『じゃあ先に離して。そしたら話すから』
「……チッ」
一夜の舌打ちが聞こえたと同時に、一夜の腕から解放された。
『梨沙のフリして呼び出しに行った。朝日とのこと言われて、挑発したら叩かれた。以上』
ここで嘘ついて逃げたら、後がどうなるか分からないから正直に言った。
「なんでフリなんかしたんだよ」
『梨沙があんな奴らの話を聞く必要はない。朝日とのことを責められるなんてダメ』
「……なんでお前はそこまでするんだよ」
『前にも言ったでしょ?大事なの、梨沙も朝日も。傷つくところ見たくない。じゃあね』
言うだけ言って、階段の方へ歩いて行った。
きっと大丈夫。
あの暗闇もダッシュしちゃえば一瞬で終わる。
「砂希」
『…なに』
急に名前で呼ばれて振り返る。
「下、鍵かけられたんじゃねーの」
『………あ』
すごい間抜けな声が出た。