何でも言うこと聞くイケメン、欲しくありません?
「そう。悪魔インキュバスの召還にね」
「インキュバス?」
首を捻れば、後ろから抱きしめられた。
「そうですよ、咲。俺を呼び出してくれたのはあなた。俺はあなたの下僕で――」
ぞわぞわした背中ごしの気配を殴りとばし、それでっとAに向き直った。
「インキュバス。淫夢見せる悪魔であり、女を魅了する容姿を持ち合わせている悪魔。
それが晴れてあなたの物にぃ、パチパチ」
「いやいやぜんぜん意味分からん」
「というのにあなたときたらインキュバスを見るなり気絶しちゃうんだものぅ。その様子じゃ、目覚めもよくなかったみたいねぇ。
いけない夢、見たんじゃないのぅ。このこのぅ」
「は、見てねえし」