何でも言うこと聞くイケメン、欲しくありません?


「あらそう。どういうことかしら、インキュバスは淫夢を見せて主人を喜ばせるのではないのかしらぁ」


「それは命令がくだってからの話です。昨日は特に何の命令もくだされなかったので、とりあえず寒くないようにと添い寝を少々」


「話をやんわりとまとめるなっ。こちとら、貞操を気にしちまう大事だったんだぞっ」


「咲は、嫌でしたか?」


「あー、嫌だね」


「そうですか……」


しゅんとするイケメンは、胸に矢を刺すダメージを私に与えた。


え、なに。なんで私が悪いみたいに思えてくんのっ。


「あぁ、いーけないんだぁ、いけないんだ」


「うるさっ、別に私は……」


ちらちらと見てしまう寂しそうな顔。


カワイイ系のイケメンに入る奴だから、ぐっ、今はなきチワワCMを思い出す。お父さんの気持ちが切実に分かるぞ。


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