【短編】10年越しのバレンタイン
行方のないチョコ
「おはよ!ハッピーバレンタイン!」
「おーっ、今年も明日奈の友チョコ待ってた!」
朝のカフェで、私はみんなにチョコを渡す。
毎年の事なので、昔からの友達には特に恒例行事だ。
チョコはいつも手作り。
トリュフだったり、チョコクッキーだったりと変わりつつ。
「今年はブラウニーにしてみました!甘さは控え目でーす」
綺麗にラッピングをした箱をみんなに配り終えると、私の手元に1つの箱が残る。
これも、毎年の事だ。
だからみんなは何も聞かない。
1人、親友の頼子だけが口を開く。
「また、いつもの所行くんでしょ?」
「うん、まぁね」
私はその1つをバッグに入れると、お先!と言ってカフェを出た。
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