【短編】10年越しのバレンタイン



「ひっく…、うっ」

 小学4年のバレンタインの夕方、私は1人公園のベンチで泣いていた。

綺麗にラッピングした箱を1つ握りしめて。



私が泣いている理由は、この状況を見ればわかるだろうけれど。

そう、振られたのだ。


クラスで気になっていた男の子。

走るのが早くて、スポーツ万能。
活発で友達も多くて、大人しい方に入る私には憧れだった。


その子に近付きたくて、私はバレンタインにチョコを作った。


初恋で、初めての手作り。

作ったのはただ溶かして固めただけのチョコ。

けれど、可愛くデコレーションして綺麗にラッピングもして。



学校の帰り道、私はその子の家までドキドキしながら歩いた。

ところが、



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