【短編】10年越しのバレンタイン
「はぁ?手作り?んなのキモイからいらないよ」
これが、好きな人から言われた言葉だ。
これに傷つかない人なんていないだろう。
特に、10歳の子供ならば。
とにかく私は失意のまま道をとぼとぼ歩き、でも家に真っ直ぐ帰るのも嫌で、目についた公園に入った。
ベンチに1人座ると、勝手に涙が出てきてしばらく泣き続けた。
悲しくて、悲しくて。
もう2度とチョコなんて作らないって思った。
そうすると自分の持つ、この行方のないチョコを消してしまいたくて。
私は封を解くと、それを食べてしまおうと考えた。
捨てるのは寂しいから。
一口サイズのチョコを泣きながらつまんだ時、
「それ、チョコだよね?」
頭の上から、声をかけられた。