センセイと私の不可思議恋愛



「ここにいる全員が入部できると思うなよ。こんなに大勢はいらん。やる気のあるヤツしか認めへんから。恨むなら俺を恨め。はっはっは」



緑川はドSな笑い声を残したまま、去って行った。



「それでは、ドリブル練習を始めます!!」



瑠美の声で、みんながボールを持って広がった。





私と瑠美と姫華ちゃんがボールを蹴っていると、隣の3年生が大声で先生達のことを話し始めた。



私も瑠美も姫華ちゃんも、耳はダンボになってて。


練習どころじゃなかった。





「緑川って極道モノの映画に出てきそうやな」


「ほんまや~!優しいと思ってたのに、めっちゃイカついし」


「細いけど強そう」


「それに比べて、青山颯はアイドル系よな」


「スタイルはモデル風やし、あの笑顔はジャニーズ系やし」


「それなら、黒岩は?」


「黒岩コーチは、イケメン俳優って感じ?」


「あ~、わかる。甘い恋愛ドラマとか似合う~」


「3人とも全然キャラ違うけど、好みやわ」


「あんた、颯だけちゃうん?」


「最近、緑川のあの渋い感じもいいかなって思ったりしてんねん。それに黒岩コーチも結構好き」


「黒岩コーチは、私が狙うねんからあかんって」


「え~!!あんた、彼氏おるやん」


「それとこれとは別!大人ってええやん」








ガガガガーーーン・・・・・・



唯一、ホッとした表情をしていたのは姫華ちゃんやった。


今まで青山に一点集中していた人気が、3人にバラけた形になった。






「緑川先生だけは大丈夫やと思ってた」



瑠美のため息に、私のため息を重ねた。




「いくら信じてても、モテるのって気になる。嫌や」




前途多難な、3人の恋。




< 170 / 305 >

この作品をシェア

pagetop