センセイと私の不可思議恋愛
「ここにいる全員が入部できると思うなよ。こんなに大勢はいらん。やる気のあるヤツしか認めへんから。恨むなら俺を恨め。はっはっは」
緑川はドSな笑い声を残したまま、去って行った。
「それでは、ドリブル練習を始めます!!」
瑠美の声で、みんながボールを持って広がった。
私と瑠美と姫華ちゃんがボールを蹴っていると、隣の3年生が大声で先生達のことを話し始めた。
私も瑠美も姫華ちゃんも、耳はダンボになってて。
練習どころじゃなかった。
「緑川って極道モノの映画に出てきそうやな」
「ほんまや~!優しいと思ってたのに、めっちゃイカついし」
「細いけど強そう」
「それに比べて、青山颯はアイドル系よな」
「スタイルはモデル風やし、あの笑顔はジャニーズ系やし」
「それなら、黒岩は?」
「黒岩コーチは、イケメン俳優って感じ?」
「あ~、わかる。甘い恋愛ドラマとか似合う~」
「3人とも全然キャラ違うけど、好みやわ」
「あんた、颯だけちゃうん?」
「最近、緑川のあの渋い感じもいいかなって思ったりしてんねん。それに黒岩コーチも結構好き」
「黒岩コーチは、私が狙うねんからあかんって」
「え~!!あんた、彼氏おるやん」
「それとこれとは別!大人ってええやん」
ガガガガーーーン・・・・・・
唯一、ホッとした表情をしていたのは姫華ちゃんやった。
今まで青山に一点集中していた人気が、3人にバラけた形になった。
「緑川先生だけは大丈夫やと思ってた」
瑠美のため息に、私のため息を重ねた。
「いくら信じてても、モテるのって気になる。嫌や」
前途多難な、3人の恋。