センセイと私の不可思議恋愛
ジャージ姿で、車に乗り込んだ黒岩は、何も言わずに車を走らせた。
「・・・・・・なぁ」
私が口を開くと
「どこ行きたい?」
最高の笑顔でそう言った。
嫌な予感がした。
きっとこの予感は当たってる。
「一緒におれるならどこでもええもん、私」
「えらい、かわいいやんけ」
黒岩は目を合わせずにそう言った。
「ここで話そう」
学校から少し離れた公園に到着した。
人のおらん公園に、数匹の猫がおって、その鳴き声が響いてた。
「コーチのことか?」
ベンチに座ったらすぐに黒岩は本題に入る。
もっと、別の話もしたかった。
「うん。コーチ、やめるん?」
「まだわからん」
「なんで、言ってくれんかったん?」
黒岩は、ちょっと寂しそうな表情になって、うつむいた。
「お前に言っても悩ませるだけやん」
今日は、“萌ちゃん”って言ってくれへん。
なんか、いつもの黒岩じゃない。