センセイと私の不可思議恋愛
緑川先生の黒い大きな車に乗り込む。
「乗れるか?」
「は、はい!!」
うちの車と違って、めっちゃ座席が高い。
ついついよっこらしょって言ってもーたやん。
「緑川先生、車好きなんですか?」
沈黙になるのが怖くて、質問した。
車の中は、どっかで匂ったことのある香水みたいないい匂いがしてた。
女の人の香水の匂いじゃない。
男っぽい匂い。
「好きってほどでもないけど」
「この車、かっこいいですね」
と言った途端。
「ほんまか?ありがとう!!」
すんごい嬉しそうな笑顔と、テンション上がった声で。
やっぱり車好きなんやぁ。
かわいいな。
「まーなぁ。ほんまはバイクが好きなんやけど。お前やから言うけど、昔はバイク乗って走ってたから。特攻服着てたけどな。ははは」
緑川先生にしては珍しい。
冗談を言った。
「へ~、そうなんですか」
とトボけると。
「あほっ!!」
と手が伸びてきた。
私の肩をポンと叩いた緑川先生は、いつもの顔じゃない別の顔をしているように見えた。