センセイと私の不可思議恋愛





緑川先生の黒い大きな車に乗り込む。



「乗れるか?」




「は、はい!!」



うちの車と違って、めっちゃ座席が高い。


ついついよっこらしょって言ってもーたやん。





「緑川先生、車好きなんですか?」



沈黙になるのが怖くて、質問した。


車の中は、どっかで匂ったことのある香水みたいないい匂いがしてた。


女の人の香水の匂いじゃない。


男っぽい匂い。




「好きってほどでもないけど」



「この車、かっこいいですね」



と言った途端。




「ほんまか?ありがとう!!」



すんごい嬉しそうな笑顔と、テンション上がった声で。


やっぱり車好きなんやぁ。


かわいいな。




「まーなぁ。ほんまはバイクが好きなんやけど。お前やから言うけど、昔はバイク乗って走ってたから。特攻服着てたけどな。ははは」



緑川先生にしては珍しい。


冗談を言った。




「へ~、そうなんですか」



とトボけると。



「あほっ!!」


と手が伸びてきた。






私の肩をポンと叩いた緑川先生は、いつもの顔じゃない別の顔をしているように見えた。




< 203 / 305 >

この作品をシェア

pagetop