センセイと私の不可思議恋愛



車で20分くらいの距離。



「ここ、曲がるんか?」




「はい。その信号を右で」




あ、もう終わりや。


ほんまに楽しくて、笑ってばかりやった。




今さらやけど、私ほんまに緑川純一郎先生が好き。


ほんで、勝手な思い込みかもしれんけど、


私と緑川先生は気が合うと思う。




教師と生徒とじゃなく、出会いたかった。


同じくらいの年齢で、出会いたかった。




そうすれば、素直に言えるのに。


好きですって。


付き合ってくださいって。




こんなに好きやけど、この想いは伝えることができひん。


好きやからこそ言えるわけがないねん。



サッカー部顧問として頑張ってくれてる緑川先生。


私はこの想いを封印して、先生と生徒としていい関係を続けていかなあかん。





「挨拶させてもらおうかな。ご両親に」


「へ?何の挨拶?」



動揺する私に、緑川先生が笑いながら言う。



「いや、サッカー部の顧問してます、って。他に何の挨拶があんねん!」



そうやな。

そうや。



うん。


今、想像した。



もしも、緑川先生と付き合うことになったら・・・・・・


挨拶に来てくれるんかなって。



そんな、ありもしないことを想像して、ひとりで興奮してる私は、あほなんやろか。


それとも、恋をするとみんなそんなあほなことを考えるんやろか。






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