センセイと私の不可思議恋愛

ライバル出現





女子サッカー部にようやく平穏が訪れようとしていた。




私の足のけがも完治に近付いて・・・・・・






「このノートももうすぐ終わりやな」




部員の弱点ノートを黒岩に渡す。





「そっか~、なんか寂しいかも」




「治っても、お前はみんなのことちゃんと観察しといたらええねん」





足の痛みはもう全くなくなってて、先週病院でも、もうすぐ運動OKやと言われた。





サッカーしたいから嬉しいけど、本音を言うと・・・・・・





黒岩とのノート交換が終わってしまうのが悲しい。




みんなが練習している間、私は黒岩の隣に座って練習を見学してて。



それはそれは、たまらなく幸せな時間やった。





何を話すでもないけど、隣に座って、黒岩の真剣なまなざしとか、ため息とか、そういうのを感じられるのは、幸せ過ぎた。






「来年度も、俺のコーチ続くことになったから」



結構重大ニュースやのに、黒岩はサラっと言った。



「え?マジで?」



素直に嬉しい。


週に2回、絶対に会えるってこと。




「嫌か?」



「嫌なわけないし・・・・・・てか・・・・・・ううん、何でもない」




嬉しい、って言いかけて、やめた。



そういう関係じゃないもん。





「何やねん。もしかして、嬉しかった?」



ニヤっと笑う黒岩に、ニヤっと笑い返す。




「嬉しいに決まってるやん」




私がそう言うと、黒岩は少年のように爽やかに微笑んで、髪の毛をかきあげた。




うわっ!


青山みたい。




爽やか王子様や~!






「ってことで、来年もよろしくな」



私の肩をポンっと叩く。



「こちらこそよろしくです」



頭を下げた私。


その頭をグイっと下へ押す。




「あほ~」



そう言って、黒岩はみんなの元へ行った。







< 261 / 305 >

この作品をシェア

pagetop