センセイと私の不可思議恋愛
ライバル出現
女子サッカー部にようやく平穏が訪れようとしていた。
私の足のけがも完治に近付いて・・・・・・
「このノートももうすぐ終わりやな」
部員の弱点ノートを黒岩に渡す。
「そっか~、なんか寂しいかも」
「治っても、お前はみんなのことちゃんと観察しといたらええねん」
足の痛みはもう全くなくなってて、先週病院でも、もうすぐ運動OKやと言われた。
サッカーしたいから嬉しいけど、本音を言うと・・・・・・
黒岩とのノート交換が終わってしまうのが悲しい。
みんなが練習している間、私は黒岩の隣に座って練習を見学してて。
それはそれは、たまらなく幸せな時間やった。
何を話すでもないけど、隣に座って、黒岩の真剣なまなざしとか、ため息とか、そういうのを感じられるのは、幸せ過ぎた。
「来年度も、俺のコーチ続くことになったから」
結構重大ニュースやのに、黒岩はサラっと言った。
「え?マジで?」
素直に嬉しい。
週に2回、絶対に会えるってこと。
「嫌か?」
「嫌なわけないし・・・・・・てか・・・・・・ううん、何でもない」
嬉しい、って言いかけて、やめた。
そういう関係じゃないもん。
「何やねん。もしかして、嬉しかった?」
ニヤっと笑う黒岩に、ニヤっと笑い返す。
「嬉しいに決まってるやん」
私がそう言うと、黒岩は少年のように爽やかに微笑んで、髪の毛をかきあげた。
うわっ!
青山みたい。
爽やか王子様や~!
「ってことで、来年もよろしくな」
私の肩をポンっと叩く。
「こちらこそよろしくです」
頭を下げた私。
その頭をグイっと下へ押す。
「あほ~」
そう言って、黒岩はみんなの元へ行った。