センセイと私の不可思議恋愛





手を握り合った。






そして、そっと抱きしめてくれた。





“さよなら”という声が聞こえた気がした。



そんな抱きしめ方やった。




何を言っても、緑川先生を苦しめるだけやと思った。



緑川先生の人生は緑川先生のもの。


決断するのは、緑川先生自身。





きっとめちゃめちゃ悩んだんやろう。




だから、私は受けとめる。



しっかり。






緑川先生のこと、あきらめるね。






「ありがとう。あきらめるから、緑川先生も気にせんと新しい恋、頑張ってな」




「ああ。でも、そう言われると寂しい気持ちになってまうわぁ」




「大丈夫やって。その人と頑張って」






まだ話していたかったけど、これ以上話していると緑川先生を迷わせてしまうような気がした。





「じゃ~ね」




笑顔で、手を振って、教室から出た。






走った。




涙がいっぱいいっぱい出た。










ほんまに好きやった。



ほんまに幸せやった。





好きになってくれてありがとう。





一生、忘れません。







【瑠美SIDE終】




< 287 / 305 >

この作品をシェア

pagetop