センセイと私の不可思議恋愛
手を握り合った。
そして、そっと抱きしめてくれた。
“さよなら”という声が聞こえた気がした。
そんな抱きしめ方やった。
何を言っても、緑川先生を苦しめるだけやと思った。
緑川先生の人生は緑川先生のもの。
決断するのは、緑川先生自身。
きっとめちゃめちゃ悩んだんやろう。
だから、私は受けとめる。
しっかり。
緑川先生のこと、あきらめるね。
「ありがとう。あきらめるから、緑川先生も気にせんと新しい恋、頑張ってな」
「ああ。でも、そう言われると寂しい気持ちになってまうわぁ」
「大丈夫やって。その人と頑張って」
まだ話していたかったけど、これ以上話していると緑川先生を迷わせてしまうような気がした。
「じゃ~ね」
笑顔で、手を振って、教室から出た。
走った。
涙がいっぱいいっぱい出た。
ほんまに好きやった。
ほんまに幸せやった。
好きになってくれてありがとう。
一生、忘れません。
【瑠美SIDE終】