こんぺいとう【短編集】
「これから気をつけるから、機嫌治して出てきてよ。ね?」
「……んで、」
「ん?」
「なんで、あんたはいっつもそうなの」
喧嘩の原因はいつも私で、あんたはなんにも悪くないのに……なんで。
「なんでって……佳奈さんが好きだから?」
ストンと落ちてきた言葉。
聞いたのは、ちょうど玄関に着いたときだった。
磨り硝子に映るシルエットが、確実にそこに彼がいることを教えてくれる。
「私、わがままだし、」
「うん」
「可愛くないし、」
「うん」
「面倒くさいし、」
「うん」