こんぺいとう【短編集】
「家出?」
「まさか」
「だよね」
短い会話が続く中、彼は動けない私の隣に腰掛けて背もたれに身体を預けた。
頭の中が「なんで」ていっぱいになる私に構うことなく、彼は空を見上げて停止。
……また、だんまりだ。
「神谷くんこそ、なんでこんなとこにいるの?」
「……質問返し。そんなに自分を見せるのが嫌い?」
「…………」
図星を突かれて、彼とは逆に私は地面を見下ろした。
「俺は夜が好きだから。こんなに綺麗な星、家にいちゃ見れないから。だから、ここにいる」