こんぺいとう【短編集】
隣で、短く息を吐いたのが分かった。……呆れられたな。
ギシッと音がして、私の視界に彼の手が入り込んだ。
「力抜けよ、」
強く握りすぎて白くなっていた私の手に、彼のそれがそっと重なる。解けた拳の中には、くっきりと爪痕がついていた。
「俺達、似てるかもな」
「……神谷くんと、私が?」
「生きてる意味を探してあがいて、自分を傷つける」
重たい頭を上げて彼を見ると、眉を下げて弱々しく微笑っていた。
これが皆が恐れる彼の顔だなんて、笑ってしまうよ。
「俺は喧嘩、あんたは勉強で自分の存在を確かめてる」