こんぺいとう【短編集】
「だから、ほっとけない」
彼の大きな腕に包まれて、久しぶりの他人の体温に当てられて、私は声を上げて泣いた。
彼のシャツをくしゃくしゃに握って、子どもみたいにわんわん泣いていた。
ぽんぽん背中を叩く彼の手があまりにも温かいから、ずっとこのままでいれるんじゃないかって錯覚してしまう。
「気になってた、ずっと」
「……っく、」
「学校で見るたび、脆くて壊れちまいそうで、怖かった」
「………っ…」
降ってくる声は、到底、不良くんが言うようなことじゃなくて。
「ここで寝てて、なんか、本当に起きんのかって思って」
回された腕に力が入る。
必然的に私の顔は彼の胸に押しつけられて、心臓の音がダイレクトに伝わってきた。