こんぺいとう【短編集】





「あんたの存在意義が、俺になればいいのにって思った」


雰囲気に流されていいものか、一瞬だけ考えたけど答えはすぐにでた。


「……神谷くんの存在意義も、私に、なるのかな」

「……うん、」

「私、喧嘩は嫌だな」

「もうしない、絶対。約束」


距離を取るために彼の胸を押すと、少しして腕の中から解放された。


間近にいる彼の顔は、街灯の淡い光を浴びてよく見えた。

耳まで真っ赤。



なんだ、本当の彼はこんなにも可愛い人だったんだ。


「よろしくお願いします」


そう言って笑ってみせると、彼はぎこちなく笑顔を作ってくれた。



【証人は煌めく】

(私達の証人はいくつもの星)





end.





< 37 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop