こんぺいとう【短編集】
「あんたの存在意義が、俺になればいいのにって思った」
雰囲気に流されていいものか、一瞬だけ考えたけど答えはすぐにでた。
「……神谷くんの存在意義も、私に、なるのかな」
「……うん、」
「私、喧嘩は嫌だな」
「もうしない、絶対。約束」
距離を取るために彼の胸を押すと、少しして腕の中から解放された。
間近にいる彼の顔は、街灯の淡い光を浴びてよく見えた。
耳まで真っ赤。
なんだ、本当の彼はこんなにも可愛い人だったんだ。
「よろしくお願いします」
そう言って笑ってみせると、彼はぎこちなく笑顔を作ってくれた。
【証人は煌めく】
(私達の証人はいくつもの星)
end.