こんぺいとう【短編集】
「ひよ、帰ろー」
きゃあ、と、教室に女の子の悲鳴が上がった。
「今日は行きたいとこあるから、着いてきてね」
原因はこの、私の目の前にいる男の子。名前は桃哉(とうや)。愛称は“もも”。
この学校の生徒会長さんだ。
目立ちたがりで少し自分好きな彼の本性は、“優秀な会長”って言う完璧な仮面で隠されている。
多分、この学校で本当の彼を知ってるのは、私ともう1人ぐらいだろう。
「さ、帰ろっ」
私に手を差し出してくる姿は、人の言葉を借りれば“王子”そのもの。
……だけど、私はこいつが大っ嫌いだ。