こんぺいとう【短編集】
「ももくーんっ!ばいばーい」
「うん、また明日ね」
「あきちゃん、またお昼一緒に食べようねっ」
「もちろんっ!じゃあね~」
一歩グラウンドに出ると前後左右上から声が掛かる。
私の両側にいる2人は、全く完璧な笑顔を振りまいて応えていた。
頼むから誰か、こいつらを今から遊びに連れてってくれ。
「陽菜ちゃん、ばいばーい」
「羨ましいぞ、陽菜っ」
「たまには俺達の相手もしてくれよなぁ」
頼むから誰か、私の苦労を分かってくれ。
「もも、今の男(やつ)覚えたよな」
「あぁ、どうしてやろうか」
笑顔を崩さず歩く2人。
思わず振り返った先にいる男の子に同情した。と同時に、この先の彼に何も起こらないこと願った。
【王子注意報】
(いつになったら逃げれる?)
end.