こんぺいとう【短編集】
それから5分で家を出てきた圭介と玄関で合流して、言葉を交わす暇もなく私を荷台に乗せた自転車が走り出す。
「何分っ?」
「17分」
「ギリだな、飛ばすぞ!」
圭介は、その脚力と知り尽くされた近道を駆使して最短10分で学校まで走る。
これがなかなかスリリングで、私は出来ればこいつの後ろには乗りたくないのだ。
「そうだ美羽、今日の髪型すっげぇ可愛いじゃん」
「わ、分かったから前向け!」
「色も、明るくして正解だったなぁ」
「いやっ、手ぇ離さないでよ!バカ!アホ!」
下り坂をブレーキなしで降りていく自転車で、器用に片手を離して後ろを振り返ってくる頭を殴った。
死ぬ死ぬ死ぬっ!