こんぺいとう【短編集】
「ちゃんと掴まってなきゃ落ちるよ」
荷台を必死で掴んでる私の腕を引っ張って、自分の腰に回させようとするから自転車がふらついた。
「わーっ、バカ!転ける!」
マンホールの上を通過した瞬間に身体が跳ねて本気で落ちそうになった。
こうなったら意地もプライドもあったもんじゃないわけで。
「最初っからそうしとけば良かったんだよ」
「うるさい!これで遅刻したら一生口聞いてやんないんだからね!」
「ひっでぇ」
ギャンギャン騒ぐ私達の髪を揺らして、強風が横を駆け抜けていく。
この坂は一直線に学校の門に繋がっていた。