こんぺいとう【短編集】
部屋にいるのは2人だけ。
別に、家庭科部ってわけじゃない。そもそもこの学校にそんな部、存在しない。
「食べないの?」
「できたよ」と私を呼ぶ彼は一足先にコーヒーブレイク。
いつもと逆だ。
ここの窓際は、彼にとっての絶景ポイント。
だって外には、ほら、今も聞こえるボールの音。笑い声。
彼の好きな彼女が、短いスコートで一生懸命テニスの練習中。
「ちあ」
まったく、狡いなぁ。
私のことをそうやって呼ぶから、離れられなくなっちゃうんだよ。……慰めて、やろうかなんて気になっちゃうんだ。