こんぺいとう【短編集】
「持ちましょうか?」
そう言って手を差し出すと「助かるよ」と腕に掛かっていた袋を俺に渡した。
1こ1こ、本当に手が込んでいて感心する。ラッピングも凝ってるし、これ、本当に義理チョコなのか……。
「あ、やっぱり嫌だ」
「えっ?」
5こ目の袋を俺に渡したとき、先輩は手を止めて何か考えるように眉を寄せた。
「おっきい袋、誰かに借りてくる」
「え、俺が持ちますよ?」
「それが嫌なの!いいから、ちょっと待ってて」