君が好き!
第2章 急接近?
瀬川君はあたしたちのところに走って戻ってきて、
「よかった、一人じゃちょっとさみしかったんだ!」
と無邪気に笑った。
そんな顔もかっこよくて、あたしは果たしてこの人と釣り合うのだろうか。
一緒にいてもいいのだろうか。
勉強は上の下ぐらいでパッとしないし、
運動なんてもっとダメ。
美術なんて中の下だし、歌だってうまいほうじゃない。
あたしはフルートぐらいしか取り柄がないなぁ、と思う。
自慢じゃないけど、フルートの先輩や顧問の秋原先生はあたしを褒めてくれる。
「瀬川さん、俺も一緒に帰るね?」
「あっ、どっ、どうぞ!」
最悪だ。
もっとちゃんと話したいのに。
噛んでしまった。
瀬川君はそんなあたしにも微笑みかけると
「隣、いい?あいつらバスケトークしてて入れないっつーか…。」
とあたしの返事を待たないまま隣を歩きはじめる。
「おい、ダブル瀬川!今からハンバーガーでも食いに行こうぜ」
「だ、ダブル瀬川って…」
「おー!あ、瀬川さんはハンバーガー好き?」
「うん、好き!」
「よかった、女の子ってガッツリしてるの無理かなって思って。
…相原みたいな女子ならともかく…」
相原みたいな、から小さな声で言った瀬川君が面白くて。
女の子って気遣われたことが嬉しくて。
なんて優しい人なんだろう。