なんだか酷い短編集
僕と僕
「君は誰だい?」
熱い液体を入れたカップを運んできた相手に言った。
「誰でも構わないじゃないか。
君はそういう人だった」
彼は、僕によく似た顔をしていた。
「君は僕?」
「僕は僕だよ」
声も、そっくりだった。
「じゃあ僕は誰?」
「君は君さ。それ以上でもそれ」
「続きは結構」
聞き覚えのあるフレーズを遮った。
それは口癖だった。
……誰の?