晴れ トキドキ 雨
プロローグ
高瀬 翼くんへ


私が中学部に入学してから、初めて会った時のコト、覚えていますか?入学式の次の日のコトでしたよね。その時、私は、友達3人と1本目のバスに乗ろうとスロープを歩いていたの。先輩2人が歩いているのは、知っていたけれど、その先輩が翼くんと篠原くんだなんて、思いもしなかったの。あなた達のほうが、ずいぶん先を歩いていて、後ろ姿しか見えてなかったから、しょうがないのかもしれないけどね。
理由は、忘れたし、大したことじゃなかったはずだけど、歩いているうちに、友達と追いかけっこみたいなことを始めたの。私と椿が走って、それを香と咲が追いかけてるカンジで。椿と走っていて、あなた達を気づかないうちに追い越していたみたいね。何気なく、香と咲がどこまで追いかけてるのかなって思って、後ろを向いてびっくりした。だってもう少しで、2人と正面衝突するところだったんだもん。しかも、2人とも、じっと私を「あれ?」ってカンジで、みてたから。会ったコトあるひとかと思ってよく見てみたら、あなた達なんだもん。あの時とは、ずいぶん変わっちゃったけど、すぐにわかった。よくよく考えてみたら、聖ルシア学院って小・中・高一貫校だから、会ってもおかしくはないんだけど。ものすごく久しぶりだったから。・・・もう5年になるのかな?たしか、私が小学校2年生だったはずだから。
まだ小さかった私の前にしゃがんで、目の位置をあわせて、「高瀬 翼だよ。ヨロシクね。」って私の頭にそっと手を置いてニコニコしながら言ってくれたんだよ。覚えてる?忘れちゃったか。もう5年もたったんだもん。しょうがないね。あの頃の記憶は、ほとんどないんだけど、あの瞬間だけは、いまでも鮮明に覚えてる。入学式の次の日までは、“あの時のお兄ちゃん”でしかなかったけど、こんなに親しくなれるなんて、ホントに夢みたい。あの時は、“憧れ”だったけどいつにまにか“好き”になってた。いつ、“憧れ”から“好き”になったのかわからないけど、きっと入学式の次の日のあの時だと思うんだ。
毎日、あなたに会うことばかり考えてた。バレンタイン前に「チョコ、くれよ。」ってあなたが言った時、「えーっ」って言いながらも、とってもうれしかったの。だってものすごく切羽詰まってたから。あなた達は、高2だから、来年のバレンタインには、卒業してるでしょ。

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