NEVER LAND
「翡翠?翡翠?
しっかりしてよ、聞こえてる!?」
未だに虚ろな顔をした翡翠は
あたしの声に答えてはくれない。
何も聞こえないような、
そこには何も、
翡翠を取り巻くものがないような、
空虚の瞳。
「ねぇ翡翠……っ!」
「………こ、はく、」
やっとこちらを見た翡翠は
いつもより項垂れてみえたけど
必死に平静を装ってるみたいだった。
「こはく、よく聞いて」
そ、とあたしの両肩を掴む翡翠の手。
冷たくて、妙に緊張した。
「これからしばらく、
僕の言うとおりにして」
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