SugarⅡ
「分かった」と不服そうに呟く奈々に、申し訳ないと思いながらも、教室をあとにした。
あと1、2分もしない内にHRが始まるんじゃないかな?
間に合わせようというつもりもないが、とりあえず急いでおこう。
1限目は教室だったから、遅れて入るのは少し気まずい。
「失礼しまーす。」
ドアを開けた瞬間、保健室独特の匂いがした。
あたしはその匂いが嫌いじゃない。
むしろ落ち着くから好きだったりする。
「あら、怪我でもしたの?」
優しく笑ったのは、お母さんみたいな雰囲気を漂わせる保健室の先生。
「はい、指切れちゃいました。」
ほら、と手を差し出すと、先生は一瞬だけあたしを見て、治療を始めた。
「痛そうね。」
「痛いですよ、切れてるんですからね。」