SugarⅡ


無理に聞こうとしないから、この先生は好きだ。


「はい、出来た。一応ガーゼしといたけど、血が出るようならまたいらっしゃい。」



「はーい。」



少し大袈裟にガーゼが巻いてある指を見ると、悲しくなってきた。



廊下に出ると、人は全くいない。


授業始まっちゃったんだな…


保健室のチャイムは、寝ている人が煩くないようにスイッチを切っている、と先生が言っていた。


だから授業始まりのチャイムが聞こえなかったんだな。



なーんて呑気に考えていると、前から女子のグループが歩いてきた。



見たことがない顔だったから、きっと先輩達だ。



それにしても…派手なグループだなー……




授業ぐらい出ろよ、なんて思いながら横を通り過ぎた瞬間



「調子に乗んな」


「指怪我してるしー(笑)」



何人かの笑い声と、脅すような低い声。
< 44 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop