悪魔的ドクター
「え…コレは?」


「姫宮さんが調べてるもの、僕と同じだから…まとめてみたんだ」



男はそう言って
黒髪の間からニヤッと笑みを浮かべた。




待って?

ねぇ…どうしてあたしの名前知ってるの?


あたしはアナタを知らないのに。



「受け取って…姫宮咲桜さん」


「えっ…」



半分強引に差し出され
あたしは困惑した。


口元は相変わらずニヤッと怪しげな笑みを浮かべるが、目は笑ってない。



キモチワルイ。



「…ごめん…なさい。気持ちは嬉しいけど…」



怖い。

どうしてそんな事するの?

この人は誰なの?


コワイ。



「…イヤなの?」



先程までニヤッとしていた男の顔つきが、急に険しくなった。

冷酷にあたしを睨み付ける。


この人は
アブナイ。



「…ごめんなさいッ」



『関わったら最期』

逃げなきゃ。


あたしは震える足を必死に動かして、その場から走り去った。



「姫宮さんが…受け取ってくれない…」



資料室を出て行くあたしの後ろ姿を睨み付けながら、男は小さく呟き、ファイルを握りしめた。



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