悪魔的ドクター
あの人はヤバイ。
そんな気がする。
『気』だけで避けるのは良くないけど、でも彼とは関わりたくなかった。
頭に過った【ストーカー】
もしかして彼がメモを置いて行った?
まさかあの非通知も?
何の証拠もないのに彼を悪者にするのは、あんまり良くないけど…
色々タイミングが良すぎて
さすがに疑う。
…考えるのはやめよ。
放っておけば
きっとすぐに無くなるんだから。
無理矢理
頭を前向きに切り替えて。
それでも背後にビクビクし
歩くスピードは速くなるけれど
『大丈夫』って
おまじないの呪文みたいに何度も口に出しながら、あたしは1度も足を止めなかった。
でも、ね
電話はやっぱり怖くて…
♪〜━━━…
着信音が鳴った瞬間
体が固まる。
怖い…。
でも非通知は拒否してるんだから大丈夫。
震える手で
鞄から携帯電話を取りだし
恐る恐る開くと
画面に表示されていたのは
【明里】の文字。
ホッとしながら
通話ボタンを押す。