悪魔的ドクター
『あ、もしもし咲桜〜?』


「どした?」


『今日の3限目の講義さぁ、あたし寝ててノート書いてないから、明日見せてもらえない?』


「相変わらず明里は自由だねぇ。了〜解」



他愛ない明里との電話に安心し
あたしは歩きながら
数分、話を続けた。



『ちょっと気になったんだけど。咲桜、なんかあった?』


「え?」


『声に元気ないみたいだけど』



普通に話してたつもりだったけど明里は気付いてたんだ。



「ちょっとね…。今度話すよ」



あの男が手紙や非通知の犯人ってまだ決まった訳じゃないし、証拠もないからヘタに話せない。


今は様子をみるしかないんだ。



『う〜ん…わかった!でもあんまり気にすんなよ〜』


「ありがと」



明里は何か察したのか
それ以上は何も聞かず
そんな彼女の気遣いが
嬉しかった。




明里のおかげでちょっと気持ちが落ち着き、通話を終了。



携帯を閉じる前
ふと待受画面に視線を移すと
表示されていた不在着信の数に
あたしは言葉を失った。


27件
すべて非通知の現実。





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