悪魔的ドクター
「次はこっちだ」



男の手はスカートの中へと入り
内股を撫で回す。



「ヤ…ダ」



こんな服装をした自分に激しく後悔した。


変態男に会うのに
こんな格好…
『襲って下さい』って言ってる様なもの。


あたしがイケなかった…。


今更後悔するなんて
もう意味がない。



遂に男は
下着へと手を掛ける。



「せ…ん」



先生…
助けて




先生を呼ぶ声も
自分の中だけ。


助けには来ない。


わかっていても
唇を噛み締めて
泣きながら
何度も心の中で先生を呼んだ。



会いたい

先生に
会いたいッ






と、そんな時…



━━━ガラガラ…



資料室の扉が開く音がした。


数人の女子生徒の話し声が聞こえてくる。


人が入ってきたんだ。



その声は徐々に近付いてくる。

このままだと気付かれるッ



「ちッ」



男も声に気付いたらしく
少し力が緩む。




あたしは
その隙を見逃さなかった。


全力で男を押し退け
近くに落ちていた鞄を拾い
肌けた服を鞄で隠しながら資料室を出て行く。



もちろん生徒達はこちらを見ていたけど、今は逃げる事しか頭になかった。


そのせいで
吸引器を落としていった事にも
気付かなかった…。




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