悪魔的ドクター
前髪に触れていた手を
今度は赤くなった左頬に移動させ触れようとした。



と、その時



「…イヤッッ!!!」


「えッ…」



━━━━パシンッ…




咲桜ちゃんはパッと目を覚まし
突然発狂したかと思えば
俺の手を振り払った。





拒絶されたのか…?


何度か診察の時も触れていたが
今までもイヤだったのか…?




いや、違う。

今までそんな反応
した事なかった。

1度だって
イヤな顔しなかったはず…



それにこんな…

震えてなかった。


何に怯えてるんだ?



「さ…くら…ちゃん…」



怖がらないでほしい。
そう思いながら近付くが…



「…ぃ…ゃ……来…ない…で」



ポツリポツリと消え入りそうな声を発し、震えながらベッドの上を後退りする。




こんな彼女を見るのは
初めてだ…


動いた為か
点滴の針が刺さる皮膚から
少量の出血もある。


せめてそれだけを直したいのに…



「…ゃ…だ……ゃ、め…」



近付けば近付く程
さらに震えは増すばかり。





どうしてそんなに怯える?

俺が…怖いか?





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