悪魔的ドクター
椿さんの言った言葉が意味深だった。

考えすぎなだけなんだろうけど
でもその言い方は
以前、先生の側に
"他に誰かいた"って事みたいに思えた。




疑問に思っても聞く事は出来ず
その晩
妙に椿さんの言葉が頭から離れなかった…。






━━━━翌朝。
マンション外。



当直明けで先生が帰って来たのと同時刻。

椿さんは一泊で帰る事になった。



「急に来て、ごめんなさいね」


「まったくだ。で?結局何しに来たんだよ」


「ちょっとね…。旦那と喧嘩しちゃって…気分転換に遊びに来たのよ」



椿さんは
『エヘッ』と舌を出し苦笑した。



「やっと白状したか。まぁ、そんな事だろうとは思ったが。どうして黙ってたんだ?」


「どうしてって…人妻にだって色々あるのよ?悩むお年頃ですし、女性は大変なの!」


「『悩む年頃』って歳じゃないだろ。喧嘩したからって、毎回来るのはやめろよな。咲桜ちゃんにも迷惑掛かる」


「え、あたし…ですかッ」



いきなりあたしを出すなんて
先生、それは反則です。
それにそんな言い方…
椿さんは本当に
先生に会いに来たのもあるのに…


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