悪魔的ドクター
結局
それ以上は母親もわからず
話は終了した。



「ごめんなさいね、力になれなくて…」


「いえ。こちらこそすみませんでした。いきなり押し掛けて、娘さんの事を聞いてしまって」


「あの娘の事を心配して下さったのは、あなたが初めてです。あんな娘には勿体ない男性です。なので…速水さんは、速水さんの幸せを考えて下さい」



最後の最後に
返答しづらい事を言われ
少し焦りながらも
俺は柚花の実家を出た。







実の母親から何か聞けば
真実がわかるだろうと思っていたんだが…


柚花から聞いていた事と
あまりに違いすぎていて
どちらが正しいかが
わからなくなった。




ただ
もし母親の言う事が正しければ


アイツは
結婚…していなかったんだな。


自傷行為は同情…

一体なんの為に…?




あとは柚花本人の口から
話を聞くしかない…か。





***




その夜マンションに帰宅し
部屋に到着すると
玄関の前で誰かがうずくまっていた。


顔を伏せていた為
誰かがわからない。



咲桜ちゃんか?


『まさか』と思いながらも
心配で声を掛ける。



「どうかしたか?」



ポンッと肩を叩くと
その人物は伏せていた頭をあげた





< 269 / 281 >

この作品をシェア

pagetop