悪魔的ドクター
「咲桜ちゃん、久しぶりだね。今日はどうしたの?」



ボーッと先生を見つめて
そんな事を考えていると
速水先生は見ていたカルテを机に置き、あたしに目線を移した。


まっすぐ見つめるその目は
先生っぽい。

実際
先生なんだけど。



「いつの間にか先生になったんだね」



聞かれてる事に無視し
知らない間に、聞きたい事を口に出してた。



「僕の質問に答えてね?今日はどうしたの?」


「先生って眼鏡掛けてたっけ?」



結局また質問に答えず
速水先生は『はぁ…』と溜め息をついた。



「あのなぁ。俺の事より、今日はどうしたんだ?遊びに来た訳じゃないだろ?」



いきなりタメ口になり
さっきまでの優しく穏やかな言い方はない。

さらに『僕』→『俺』に昇格。

大変身だ。
それとも二重人格なの?



「風邪ひきました」



さすがに答えないと
ここに来た意味がないと思い
ようやく素直に答えた。



「まったく…。初めからそう言いなさい。熱測って」



そう言いながら
机の鉛筆立てから体温計を取り
あたしに渡してくれた。


脇に挟み鳴るのを待つ間も
先生の質問は続く。






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