悪魔的ドクター

「ただ…1つだけ。今回の咳の事で、咲桜ちゃんに確認したい」



先生の目付きが急に変わった。
若干、眉間にシワを寄せ
怒っているように見える。



「…はい」



直感で
あまり良い話ではない事が理解できた。



「今回みたいな咳は初めて?」


「はい…」


「この3年間で何か体に異変はなかった?」



『異変』と聞いて
あたしは少し考えると
ある事を思い出した。



「時々だけど…咳は出ました」


「他は?」



すぐに質問を返され
あたしは返事に戸惑った。



「他…は、運動すると少し息をするのが苦しくなりました…」


「前兆はあったんだな」



またすぐに聞かれ
あたしは無意識に首を縦に振ってしまった。


すると先生は
『はぁ〜…』と大きく溜め息をつくと、説明を始めた。



「今回のは、喘息の発作なんだ」


「喘息…?」


「煙草が発作を起こす引き金になったんだ」



先生の真剣な顔は尚も続き
あたしは先生から目を離したらいけない気がした。



「風邪もひいてたんだ。その細菌だって発作の原因でもある」


「…発作」




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