悪魔的ドクター
「え、そうなんだ…。じゃあ今は誰と暮らしてるんだ?」
「…1人です」
「1人!?」
先生は驚いたらしく
瞬きもせず、声を張り上げた。
「別にそんなに驚く事じゃないですよ?19にもなれば、みんな1人暮らしなんて当たり前です」
「いや…確かにそうかもしれないけど…。お前、大学に行ってるんだろ?学費とかどうしてるんだ?1人暮らしって金掛かるぞ」
なぜあたしが大学生だとわかったのかは不明だけど、なんだか余計な事を言われてる気がする。
「先生には関係ない事です」
「けどなぁ…。まぁいいか。とにかくご両親に連絡したいから、番号教えてくれないか?」
「…無理です」
「は?」
先生は再び眉間にシワを寄せ
今にも怒りそうな険しい表情をしている。
あたしは
そんな先生の顔色を窺いながら
恐る恐る答えた。
「あんまり…親とは仲良くないから…。最近は連絡も取ってないんです」
だけどやっぱり
先生には通用しなかった。
「今はそんな事言ってる場合じゃないんだぞ?お前の事なんだぞ」