悪魔的ドクター
「風邪ひいたのはいつ?」


「2・3日前から…」


「症状は?」


「喉と頭が痛いくらい…」



あまりにちゃんとした診察に
改めて先生なんだと実感する。
(本日2度目の失礼)




ピピピ…


体温計が鳴り
脇から取りだし表示を確認すると微熱程度でホッとした。


先生に体温計を渡すと
確認して無言でカルテに記入している。




この人は
変わったと思う。
昔より少し近寄り難くなった気がする。


前はもっとよく話したのに
先生になると変わっちゃうものなんだろうか。



「ちょっと胸の音聴くから服捲って」


「…はい」



あまりに淡々と言うから
恥ずかしいとか緊張するとか
考えなくなる。


だけど
聴診器を当てながら
ちょっと険しい顔する先生に
不安になった。



「不整脈もあるんだっけ…。一応心電図も測っておくか…」




先生は
あたしに言ってるのか
看護婦さんに言ってるのか
まるで独り言の様に呟きながら
カルテに何やら書き込んでいる。


確かにあたしは不整脈がある。
突然脈が速くなって
すぐ落ち着く。


でも心臓に問題のある不整脈ではないし、特に心配する事はないと聞いている。




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