悪魔的ドクター
「待て待てッ。壊れるだろッ。落ち着けって」
「放してくださいッ!先生がそんな酷い人とは思わなかったッ」
離れようと必死にもがく。
が、びくともしない。
「悪かったよ。冗談だから安心しろって、な?」
そう言いながら
掴んでいた手を放した。
謝り方、軽ッ。
先生がこんなキャラだったか疑問にも思うが…
確かに壊れても困るので
もがく事を諦める事にした。
密室内でこんなやり取りを繰り広げるうちに、エレベーターは目的地の階に到着。
扉が開きすぐに目に入ったのは
広々としたロビー。
その真ん中には
長いソファーが3つあり
他は何もない殺風景な場所。
なんだか
病院の待ち合い室みたい。
「こっち」
言われるまま先生の後を追う。
ロビーを抜け
また長々と続く廊下を
無言でついて行く。
そして辿り着いた1つの部屋。
先生は鞄からカードの様なものを取り出し、扉横のインターホンらしき機械に通して解錠した。
どうやらここの扉は
オートロック式らしい…。
『どうぞ』と言われるまま
あたしは緊張しながら玄関へと足を踏み入れた。