悪魔的ドクター

誰の部屋?



「ここって先生の部屋?」


「あ、いや。ここは客用。俺は斜め前の部屋」



あ、そうなんだ。
ちょっと安心した。


まさか先生の部屋で…
しかもベッドになんて…
絶対寝れないから。


それにしてもお客さんの部屋があるなんて…
ここに泊まる人って
先生の友達とかなのかな。



「早いうちにアパートは解約した方がいい。俺も出来る事は手伝うから」


「はい」



先生は優しい。
どうして彼女でもないあたしに
そんな優しくするんだろう。
医者だから?



もはやここまで来ると
医者とかって関係ないと思う。
きっと先生の性格なのかな。
『家出娘を放っておけない親の心境』…とか?


結婚した夫婦みたいにも思えてしまって、照れる。



「風呂…入るか?」


「え!?」



いきなりの言葉に
声が裏返った。



まさか一緒にとか!?

同棲初夜に先生…
いきなり誘うなんて…
狼にでもなったんですか?



「え、いや…ちょっとそれは…」



動揺しすぎて、言葉は出てこないし挙動不審になってしまう。


明らかに不自然。






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