悪魔的ドクター
「…発作が怖くて…」
「あ、そっか。大丈夫。病院には戻らないから、何かあったら遠慮なく言え」
そんな先生の優しさに
思わず照れながら
あたしは小さく頷いた。
「じゃあ…おやすみ」
「お…やすみなさい」
ドキマギしながら別れる。
「はぁ…」
先生が静かに部屋の扉を閉めたと同時に、溜め息が出た。
どうしてこんなに
ドキドキするんだろう…。
男の人の家に泊まる事も初めてなのに、住んじゃうんだから我ながらビックリだ。
先生は大人だし
今まで彼女を連れて来た事もあるだろうし…
一緒に住んだ事もあるかもしれない。
だからきっと
ドキドキしてるのはあたしだけ。
それに
ここに来た目的は
あくまで『入院』
勘違いしない!!
って…
何を勘違いしてるんだろう。
「…寝るか」
色々と考えててもゴチャゴチャするから、とりあえず今日はこのまま寝る事にした。
だけどきっと眠れない。
色んな意味で…。
ベッドから香る洗剤のにおいに包まれて、あたしはそっと、目を閉じた。